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レッスン8 人物

 まだ、人体を取り上げるには早すぎるというご意見と、人体についてのレッスンはとても役に立つというご意見が、両方ありました。しかし、人体を一通り描けるようになっておくと、様々な分野に応用が利きます。絵を描く以外にも、絵コンテやカット、イラストなどにも使えます。グラフィカルな仕事や趣味以外でも、人体の構造を知っておくと、役立つことが多そうです。
 そんなわけで今回は、引き続き人体の構造、足についてを説明いたします。

 大腿骨の球状になった上部が骨盤のへこみに入り込んでできた関節で、組み合わせの深い関節です。赤ん坊はこのへこみが小さいので、簡単に脱臼します。
 股関節は、前方に135度くらい上がるのに対して、横方向には45度ほど、後方にはわずか15度ほどしか挙げることができません。

 体操選手が足を広げてぺったり付くのは、開脚域が常人より広いということもあります。ですが、前側に足を挙げているのをあたかも横に広げているように見せているのも、理由の一つです。骨盤を横に向けて足は前側にあげ、上体を90度正面へねじ曲げているのです。足を前後にぺったりとつける動作も同様で、後ろ側に足が90度上がっているように見えるのも、骨盤の動きによる錯覚なのです。

 膝は肘ほどの回転はしません。しかし膝を90度以上曲げた場合は、40度から60度ほど外側に捻ることができます。内側にはあまり回転しません。あなたが、椅子に座っているなら、試してみてください。

 もうそろそろ、人体を理解できたはずです。あとは、上手く描けるようになっていくだけなのですが、そうそう簡単にはいきません。上手くなるためには、とにかく描きまくるしかないのです。近くの駅か、公園にクロッキー帳を持っていって、とにかくクロッキーをしまくってみましょう。(できれば夏場のほうがいいのです。皆が薄着なので、骨格がわかりやすいです。)

 描く対象となるひとは、当然こっちのことをお構いなしで歩き回ります。上手く描けなくて当たり前です。しかし、クロッキー帳を1冊埋めるほどの量をこなしたときに、「これは!」と思えるクロッキーがひとつでもあれば、大きな収穫です。これは、初心者でも本職のひとでも、同じでしょう。


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