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レッスン6 人物

 今回は、要望の多かった人物のデッサンをしてみましょう。人物のデッサンは形が複雑になり、量感をとらえるのが難しいものです。それを理解するためには人体の骨格を研究する必要があります。

 人体骨格を美術のために研究し始めたのは、ルネッサンスの時期、レオナルド・ダヴィンチなどが最初であると言われています。日本古来の彫刻などは解剖学をあまり考えず、力強さや繊細さなどの表現を追求したものが多いようですが、現在ではマンガやアニメなど誇張表現されたものを参考にしたため、解剖学的にも表現的にも間違った骨格がイラストなどにされていることも見かけられます。ここでひとつ、他人のイラストを真似た人物像を描かずに、簡単な美術解剖学を学んでみましょう。

 骨格の幹となるのは背骨、脊柱です。脊柱は32個あまりの椎骨(ついこつ)によって構成されています。頚椎(けいつい)が7個、胸椎(きょうつい)が12個、腰椎(ようつい)が5個、仙骨(せんこつ)は外観上ひとつのように見えますが5個、尾骨(びこつ)は3〜5個の、それぞれの椎骨によって構成されています。それぞれの椎骨の間には消しゴム状の弾力を持つ円盤(椎間板)があり、これがクッションの役割を果たしているのです。横から脊柱を見ると、頚椎は前に傾いたカーブを描き、胸椎では後ろに、腰椎で前、仙骨で後ろにと交互に傾いたカーブになります。このために、脊柱は全体を美しいS字状のカーブを描いているのです。このS字カーブは直立歩行する人間特有のものです。

 頚椎、つまり首の傾きは男性より女性の方が顕著に表れます。首の傾きは前側に20〜30度くらいですが、女性の場合、最も美しい傾き加減は30度程度と言われています。

 上から7番目の頚椎である、第7頚椎には後方に伸びた突起があり、首を前にもたげたときに、うなじにアクセントを加えます。是非、自分の首の後ろを触って、確かめてみてください。

 

 今回、必要なものは鏡です。自分の胸から上を鏡に映し、何枚かクロッキーをとったら、デッサンに移ります。真正面より、少し斜に構えた方が描きやすいでしょう。良く観察することを忘れずに、立体としての量感を追ってみましょう。また、首の傾きに注意して見て下さい。


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