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レッスン11 自画像

 今回は、前回のレッスンから引き続き自画像に取り組んでみましょう。前回のレッスンで、デッサンの描き出しと序盤の進め方を紹介しましたので、今回は中盤以降の手の動かし方と仕上げについて取りあげてみます。

 中盤からは「バランスを崩さないようにしながら描き込んでいく」という行程になります。注意しなければならないのは、描き込んでいくうちに「部分的な物の捉え方」にハマってしまい、せっかくここまでで築き上げてきた全体感をぶち壊してしまう危険性です。描き込みつつも全体感に注意を払ってください。

 「描き込み」というのは細密に描写していくことを言います。描き込みで重要なのは、鉛筆の先の使い方よりもむしろ練りゴムの使い方にポイントがあるといえます。練りゴムをとがらせて、鉛筆の粉を細く抜いてみましょう。

1 :

 細かく描き込んでいくときは、写真のように小指を立てて、画面を不必要に汚さないようにします。鉛筆の普通の持ち方をしていると、知らず知らずのうちに画面がこすれて汚くなってしまうのです。とはいえ、小指を立てて画面と手首をホールドしていても、ある程度汚れてしまいます。ときどき小指の先の汚れを練りゴムできれいにしておきましょう。

2 :

 終盤に差し掛かってきたら、鉛筆をよく尖らせて、タッチを細かく入れていきます。あまり全体にタッチが入りすぎるとうるさくなるので、適宜鉛筆を寝かしたりしてタッチをつぶしていきます。タッチをいれながらも全体のバランスが崩れないように、常に注意していなければなりません。

 写真は、画面の白いバックの部分が汚れてしまったので練りゴムできれいにしてやっているところです。あまりバックが汚れていると全体のバランスがつかめなくなってくるので、ときどきこういうことをします。

3 :

 これは、頭に巻いているバンダナの部分を指でこすっているところです。終盤近くになると質感や色の違いを出すためにコスリをいれたりもします。バンダナを肌よりふんわりした質感にするために、指でこすっていますが、この場合はガーゼを使ってこすった方がよかったかもしれません。こする道具は指やガーゼの他に、擦筆(サッピツ)という紙を巻いて作った鉛筆のようなものがあります。これは画材屋さんに行けば手に入ります。こすった色合いにはそれぞれに特徴があるので、興味のある方は試してみてください。

 というようにして、完成に持って行くわけですが、今回はあえて完成作品を掲載いたしません。自画像を載せるのが照れくさい(^^;;というのもありますが、「こう描かなきゃいけない。」みたいに思われてしまうのは本意ではないからです。このレッスンまで読んできてくださっている方は、おそらくそろそろ自分なりの描き方をつかみつつあると思います。ここに掲載されている描き方の枠にとらわれずに、自分なりの描き方を追求することも大切です。

 自画像なら早くても完成まで2時間ほどはかかるでしょうし、大きめの画面なら6時間前後は必要でしょう。完成を焦らず、じっくりと完成させてください。


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